「見えない資産」経営と未来歴史づくり 「見えない資産」経営と未来歴史づくり
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顧客も従業員も2軸のマッピングで整理する
実践!「見えない資産」経営

岡部 米内さんは社長になられて、「未来塾」で学んだことをどのように役立てていますか。
米内 ひとつは、顧客のマッピングというところですね。「未来塾」には、毎回OB枠で参加させてもらって、自分のなかでアップデートさせてもらっています。
岡部 米内さんは、2019年にも重要度と緊急度の見直しをされているんですね。4象限に分類することで、何が見えましたか?
重要度と緊急度のタスクの変化 重要度と緊急度のタスクの変化
米内 過去のものと比べてみると、下のほうを書かなくなりましたね。社長になったときは書きまくっていました。でも、だんだんと「右下にあるものは誰かに渡していっていいんじゃないの」と思うようになったんです。
岡部 まず、自分がやらなければいけないことを整理されたんですね。また、長期の財務分析もしていらっしゃいますよね。
米内 長期財務分析は太田社長時代のものです。もうひとつは直近のものですけれど、2年前に営業利益率がガーンと落ちました。こうなる前から準備はしていたのですけれど、社会の流れ、世界の流れに追いつくことができなかった自分がそこにいました。
岡部 逆に、長期財務分析ではどういうことが読み取れるのですか?
米内 これは「未来塾」がスタートしたとき「長期財務分析を書いてください」と言われて、太田会長がやってきたことを書いたんです。そうすると、すべてが当たりではないんですけれど、やってきたことに間違いないという、タマチ工業の文化が読み取れました。
三冨 まったくその通りです。長期の財務分析を出してもらっても、普通の会社はせいぜい3年とか5年とかしかないんです。でも、タマチ工業さんのような会社は何十年に一回しか経営者が変わらないから、経営者が変わるタイミングは過去全部を振り返るいい機会なんですね。そうすると、会社がどの期にあるかが分かる。それと、うまくいっていないときに会社の文化は醸成されるので、いちばん苦労したときに会社の文化は根付いている。だから、全部を分析するのではなく、傾向値と分岐点を見ることで自社の歴史や思いをもう一度学ぶことができるわけです。数字も大切だけど、数字の裏に流れている思いが何なのかを読み取ってもらうということが、長期の財務分析を書く意味なんですね。米内さんはすごく素直な方なので、真面目にやってくださいました。
岡部 従業員の2軸のマッピングではいかがですか?
米内 最初の頃は、好き嫌いが出ましたね。仕事に関してはすごくとがっている、そこを極めているのだけれど、性格はタマチ向きではないという人は、むしろ排除する方向に向いていたんじゃないかなと思います。でも、彼らと意見交換することによって、彼らのいい部分も見えるようになってきた。それも、この2軸のマッピングのおかげですね。
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三冨 米内さんは、「未来塾」の一環として始めた自主勉強会に、社員の方たちも誘われていましたよね。なかには、「なぜこんなところに連れてこられなくちゃいけないだ」と思っているような人もいましたけど(笑)。
米内 そうですか(笑)。基本的には上の象限と思われる人たちを連れてきていたので、ハマる人は結構そのあとも参加していたみたいですけれど……。例えば、今まではテクノロジーばかりを勉強してきた人間だったので、自主勉強会で取り上げられるような文化的な話はとても刺激になったようで、1年くらい通い続けたという社員もいました。会社に持ち帰って展開してくれることもあったし……。
岡部 本当に、がっつり「見えない資産」経営を取り入れてくださっているのですね。ありがとうございます。ところで三冨さんは、なぜ自主勉強会を企画されたんですか。
三冨 現役生が分からないことがあったときに、質問できる場があるといいんじゃないかと思ったんです。でも、それはまったく機能していない。今は、コアなOBが利用する場で、そこに社員やお客さま、「未来塾」と関係ない人も来るというような場になっています。

本記事は2019年12月に行った鼎談をまとめたものです

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